先日我が家にようやく固定資産税の調査が入りました。
調査自体は30分程度で「え?何を見てるの?」って思ってしまうくらいサッと終わってしまいましが、せっかくなのでこれを期に新築住宅の固定資産税についてまとめてみました。
家を建てるのにかかるお金は住宅ローンや家具家電費用だけではありません。
忘れちゃいけない「固定資産税」。税金が好きだという人は稀でしょうが、家づくりするなら考えないワケにはいきません。
もくじ
固定資産税・都市計画税とは?
固定資産税とは土地・家屋・償却資産などの固定資産を所有している人が、固定資産の価格を基に算定された税額を、固定資産のある市町村に納める税金のことです。
都市計画税とは、道路や公園の整備などの都市計画事業のための費用に充てることを目的として、市街化区域内にある土地・家屋に課税される税金のことです。
都市計画税は市街化調整区域内の土地建物には課税されません。
固定資産税・都市計画税を納める人は?
税金を納める義務のある人のことを「納税義務者」と呼びます。
固定資産税・都市計画税の納税義務者は、毎年1月1日に固定資産を所有している人になります。
課税基準日
毎年1月1日時点で家屋と認められるものに課税されますので、建物の完成が1月2日であった場合などは翌年の1月1日時点で所有しているとみなされ、同年の4月に評価額が決定します。
例えば我が家の場合、登記上は2020年1月18日に建物を取得していることになっていますので、評価額の決定は2021年の4月となり、課税開始も2021年の5月からとなります。
固定資産税の評価額はどうやって決まるの?
固定資産税は「評価額」に税率を乗じて計算されます。
現在の固定資産税の税率は1.4%、都市計画税は0.3%です。
固定資産税と都市計画税の計算方法
固定資産税 = 評価額 × 1.4%
都市計画税 = 評価額 × 0.3%
例えば、評価額が1,000万円だったとすると、
例 評価額1,000万円の場合
固定資産税 = 1,000万円 × 1.4% = 14万円
都市計画税 = 1,000万円 × 0.3% = 3万円
これが、1年間で納めなければならない税額となります。
それでは、肝心要の「評価額」はどうやって決まるのでしょうか?
この評価額の決定には、以下の計算式が使われています。
評価額の決定方法
評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率
再建築価格とは?
再建築価格とは、評価の対象となった家屋と同一のものを、評価の時点において新たに建築する場合に必要となる建築費のことです。
家屋で使用されている材料(外壁・フローリング・壁紙などなど)には、国のほうでひとつひとつに材料費が定められており、再建築費は材料費の総和により計算されます。イメージとしては私達がハウスメーカーに支払った金額から、人件費や中間マージン、利益などを差っ引いた金額…といった感じでしょうか。
また、この材料費には物価の変動が加味されており、例えば鉄の価格が著しく高騰すると鉄骨の材料費が上がり、再建築費も上がります。
ただしこれにより、評価額が上がっても税金が上がることはありません。
経年減点補正率とは?
家屋は経年・使用によって劣化していき、価値が減少していきます。建築後の年数の経過によって生じる減価を補正するための割合を「経年減点補正率」と言います。
経年減点補正率は1年ごとに数値が決まっていますが、評価額の見直し自体は3年に1度のため、経年によって税額が安くなるのは3年に1度ということになります。
評価額の縦覧・閲覧
固定資産税の基準となる評価額が適正かどうかを客観的に判断できるように、評価額の決定日である4月1日から第1期の納期まで「土地・家屋価格等縦覧帳簿」を無料で見ることができます。
この「土地・家屋価格等縦覧帳簿」には、自分の固定資産だけでなく、自分の固定資産の属する自治体が管轄する土地・家屋の評価額まで見ることができます。
つまり、ご近所さんのお家の評価額を確認できるというワケですね。
また、自分の固定資産の評価額は「固定資産課税台帳」にて閲覧することができます。ただし有料です。(4月1日から第1期の納期までは無料)
どちらも本人確認書類を持って自治体の担当窓口まで行く必要があります。
いつまでに納付すればいいの?
課税基準日(1月1日)に課税対象となった土地・家屋の所有者に対して、同年5月に納税通知書が郵送されます。
納税の期日は以下の通りとなっています。
納税の期日
第1期 : 5月
第2期 : 7月
第3期 : 12月
第4期 : 翌年2月
基本的には各月の末日が期限となりますが、休日を挟む場合などがありますので正確な期日は納税通知書を確認しましょう。
特に第1期は納付書が郵送されてから期限までの期間が短く、自動車税なども5月なので注意が必要です。
どこで納付するの?
公共料金の支払いと同様に、通知書を使ってコンビニ・銀行・郵便局・市役所・支所などで納付することができます。
また、通知書の中に口座振替依頼書が同封されていますので、必要事項の記入して金融機関に提出することで引き落としにすることもできます。
新築住宅に対する減額措置
次の要件を満たす住宅については一定の期間・範囲で固定資産税が1/2に減額されます。
減額の要件
- 新築された家屋あること
- 専用住宅、共同住宅および併用住宅であること(併用住宅は居住部分の床面積の割合が全体の1/2以上であること)
- 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
このように定義がしっかりと決まっていますが、要するに「普通に新築」すれば全ての要件を概ね満たせるようになっています。
減額される範囲
- 住宅として用いられている床面積120㎡まで
- 併用住宅における店舗や事務所などの部分は対象外
例えば、先ほどの評価額が1,000万円の住宅の床面積が120㎡であったとすると、固定資産税は以下のように減額されます。
例 評価額1,000万円の住宅の固定資産税減額措置
14万円 × 1/2 = 7万円
一方で、我が家のように床面積が120㎡を超える場合はどうなるのでしょうか?例として、我が家の床面積127.13㎡を用いると、計算は以下のようになります。(評価額1,000万円と仮定)
例 床面積120㎡以上の場合の固定資産税減額措置
127.13㎡ = 120㎡ + 7.13㎡
7.13㎡ / 127.13㎡ ≒ 0.056
1,000万円 × 0.056 = 56万円 (←120㎡を超える部分の評価額)
1,000万円 - 56万円 = 944万円 (←120㎡までの評価額)
944万円 × 1/2 = 472万円 (←120㎡までの減額措置)
472万円 × 1.4% ≒ 6.61万円 (←120㎡までの固定資産税)
56万円 * 1.4% ≒ 0.78万円 (←120㎡を超える部分の固定資産税)
6.61万円 + 0.78万円 = 7.39万円
120㎡というと約36坪です。税金という観点から見ると、新築住宅はこの大きさに収めるものが最も賢い選択で言えるでしょう。
減額される期間は?
固定資産税の減額措置には期間が決まっていて、住宅が「一般住宅」か「認定長期優良住宅」かで期間が異なります。
固定資産税の減額措置期間
一般住宅 → 3年間
認定長期優良住宅 → 5年間
(3階建て以上の中高層耐火建築物等は+2年間)
認定長期優良住宅とは?
認定長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」による認定を受けて建築された住宅のことです。
これによると、認定を受けるためには以下の9項目を満たす必要があります。
長期優良住宅の条件
- 耐久性
→構造躯体が長持ちすること - 耐震性
→耐震等級2以上 - 維持管理性
→内装や設備に対する維持管理が容易であること - 可変性
→ライフスタイルに応じて間取り変更などが可能になっていること - 省エネルギー性
→断熱性能などが優れていること - バリアフリー性
→バリアフリーリフォームに対応できるようになっていること - 居住環境
→地域における居住環境に維持・向上に配慮されていること - 住戸面積
→1フロアの床面積が40㎡以上、総床面積が75㎡以上であること - 維持保全計画
→定期点検などの計画がなされていること
住宅用地の特例措置とは?
住宅だけでなく土地にも税金がかかってきますが、住宅用地に関しては固定資産税の評価額を減額する特例措置があります。
これを「住宅用地の特例措置」と呼びます。
住宅用地の特例措置
200㎡までの部分 : 固定資産税 評価額 × 1/6 都市計画税 評価額 × 1/3
200㎡を超える部分 : 固定資産税 評価額 × 1/3 都市計画税 評価額 ×2/3
(家屋の床面積の10倍が上限)
例として、評価額1,000万円の200㎡の土地に家を建てたとしましょう。このときの固定資産税と都市計画税は以下のようになります。
例1 土地が200㎡以下の場合
固定資産税 : 1,000万円 × 1/6 × 1.4% ≒ 23,333円
都市計画税 : 1,000万円 × 1/3 × 0.3% = 10,000円
もう一つ例として我が家の土地の場合も計算してみましょう。土地は288.21㎡です。上の例と同様に評価額は1,000万円とします。
例2 土地が200㎡以上の場合
288.21㎡ = 200㎡ + 88.21㎡
88.21㎡ / 288.21㎡ ≒ 0.306
1,000万円 × 0.306 = 306万円
1,000万円 - 306万円 = 694万円
固定資産税 :
694万円 × 1/6 × 1.4% ≒ 16,193円
306万円 × 1/3 × 1.4% = 14,280円
16,193円 + 14,280円 = 30,473円
都市計画税 :
694万円 × 1/3 × 0.3% = 6,940円
306万円 × 2/3 × 0.3% =6,120円
6,940円 + 6,120円 = 13,060円
我が家のように竿旗部分が大きく取られているような土地は、住宅を建てられる部分が狭い割に土地面積が大きくなりがちです。
土地を購入する際は200㎡がひとつのラインになりますので注意しましょう。
新築住宅に対する固定資産税の減額措置には3~7年の期間がありましたが、住宅用地の特例措置は土地に住宅が建っている限り減額され続けます。
固定資産税調査の流れ
調査日の3週間程度前に、役所から「調査したいんだけど予定どう?」の郵便が届きますので、日程の都合が悪い場合は折り返し連絡を入れましょう。調査の日時を変更することができます。
また、コロナウイルス等の感染防止の観点から家に入ることをお断りすることもできるみたいです。その場合、調査は建築図面を見るだけになります。
事前に用意しておくもの
調査にあたり、以下のものを用意しておくようにお願いされました。
- 建築図面
- 建築確認済証
- 見積書
- 印鑑
このうち、「建築確認済証」と「見積書」は調査当日に要求されませんでした。
セキスイハイムでは引き渡しのときに建築図面をまとめたものを頂くことができましたが、もし見当たらないという人はハウスメーカーに連絡して郵送してもらいましょう。
調査当日の流れ
調査自体はクローゼットを開けてみたり、キッチンの幅を測ったり、外回りを見て周ったりしただけで、ものの15分程度で終わってしまいました。
調査が行われてる間、担当の方から渡された書類に記入と捺印を行いました。
- 新築住宅に係る固定資産税減額申告書
→「新築住宅に対する減額措置」を受けるために必要 - 宅地使用状況申告書
→「住宅用地の特例措置」を受けるために必要 - 不動産取得申告書
→今回は触れていませんが「不動産取得税の課税標準の特例」を受けるために必要
…という感じで、上で紹介した税金の減額措置を受けるために必要な書類は全て調査員の方が持ってきてくれます。
その後15分程度を使って税金についての説明を受け、調査は30分で終了となりました。
終わりに
というわけで長くなってしまいましたが、セキスイハイムの新築住宅(38.5㎡)の固定資産税が判明するのは来年の4月ということになりました。
1月1日に不動産を持っているかどうかが税金が掛かるか掛からないかの基準でしたので、狙ったワケではありませんが1月30日引き渡しというのはラッキーでした。
一方で住宅ローン控除はまだ申請できていませんので、総合的な金銭の損得は判断できかねますが…。