内装をこだわりたいのであれば外せないのが、LIXILの機能性壁材である「エコカラット」です。
ハウスメーカーの展示場で使われている例も多く、見たことがあるかもしれません。
エコカラットプラス ブルックリンボーダー2(LIXILより)
一口にエコカラットといってもその「素材感」は多様です。ご覧のように、石・土・木・布など様々な素材感を表現したエコカラットが取り揃えられています。
特に石の素材感を表現したエコカラットはタイル外壁のような見た目であり、インテリアとして用いればお部屋の重厚感をグッと高めることができます。
また、エコカラットはおしゃれなだけでは無く、「調湿」「脱臭」「有害物質の吸着」という機能も備えています。
さらにエコカラットプラスでは水拭きが可能であるなど、汚れに対しても強い壁材となっています。
というわけでおしゃれかつ機能的なエコカラット、ぜひとも採用したい!…と私も思ったのですが、やっぱりお高いんです。
セキスイハイムからはトイレの壁1面をエコカラットにするのに約10万円(見積もりでは無く目安金額)程度かかると言われました。
自分でも色々調べてみましたが、材料費の他に施工費や諸経費といった人件費がかかるのが大きいようです。(リビングの壁1面のみで30万円超えという情報も…)
いくらおしゃれで機能的だと言っても、こんなに高くては手が出せません。少なくとも10万円出してトイレの壁1面をエコカラットにするよりは、10万円出してトイレのグレードをひとつ上げたほうが生活は充実するでしょう。
しかし、そんなエコカラットを格安で自宅に導入できる方法があります。そう、DIYです。
我が家の書斎と玄関にそれぞれ違う種類のエコカラットをDIYしてみましたが、結論から言うと玄関に関しては2万円でほぼ壁一面に施工することができました。
「そうは言っても素人がやるのは難しいんでしょ?」
いやいやそんなことはありません。コツさえ抑えておけばエコカラットDIYは意外と簡単なんです。
我が家でも書斎と玄関にエコカラットをDIYしています。
というわけで今日は「エコカラットを使いたい!でも高い!なんとかならないの!?」という人のために、DIYという解決策を提案します。
もくじ
エコカラットDIYに必要な道具
エコカラットDIYを行うにあたり、どういった道具が必要なのか、またどこで入手すれば良いのかを解説していきます。
■エコカラット
エコカラット本体は楽天市場で購入するのが良いでしょう。
こちらの壁紙道場というショップでは"はじめての1㎡セット"として
- エコカラット本体
- 専用接着剤2本
- クシ目ゴテ
- マスキングテープ
- 施工説明書
以上をまとめたものがセット販売されています。迷ったらこれを購入すれば間違いはありませんが、エコカラットの単品販売よりも少し割高な価格設定となっています。
1㎡であれば接着剤は1本で十分ですし、クシ目ゴテはホームセンター等で200円以下で購入でき、マスキングテープは養生テープで十分であり、施工説明書はLIXILのホームページ及びネット情報で代用できます。
私も1回目ははじめてセットを購入しましたが、2回目はエコカラット単品と接着剤をそれぞれ個別に購入して費用を節約しました。
■専用接着剤「スーパーエコぬーるG」
エコカラットの施工には専用の接着剤を使います。それがこの「スーパーエコぬーるG」です。
"アクリル樹脂系エマルジョン"というものが主成分で、一般的な接着剤とは異なります。
■クシ目ゴテ
初めてセットにも含まれているクシ目ゴテがこちらです。これを使って壁に塗り拡げていきます。
エコカラットの種類によって推奨されるクシ目の大きさが異なりますが、ほとんどのものは3mmでのクシ目でOKです。
注意点としてこのクシ目ゴテ、プラスチック製でそれほど大きくもないため、広い面積に接着剤を塗り拡げるには向いていません。
4㎡以上を施工する場合は、こういったガチのコテを用意したほうが楽かもしれません。
■タッカー
LIXIL公式の取り扱い説明書では「壁紙を剥がしてから施工」が推奨されていますが、壁紙の上からでも施工できます。
その場合、エコカラットの重さで壁紙が下地から剥がれてしまわないように、タッカーで針を打ち込んで壁紙と下地の結合を強固にしておく必要があります。
■マスキングテープ
エコカラットを貼るために壁に接着剤を塗布していくワケですが、必要なところ以外に接着剤が付着してしまうと面倒です。
そこでマスキングテープを使って施工面を囲み、接着剤がはみ出ないようにします。
マスキングテープでなくとも、剥がすときに下地を傷めないタイプのものであればなんでもOKです。私は養生テープで済ませました。
■水平器
見た目が大変カッコいいエコカラットも、ナナメになってしまっていては台無しです。エコカラットをばっちり水平に施工するために「下げ降りと水平器を使って墨出しをする」と施工説明書にありますが、水平器ひとつあれば十分でしょう。
さらに言うと、壁一面に施工する場合であれば水平・垂直の基準となるもの(例:巾木・廻り縁・壁入隅etc...)がありますので水平器すら要りません。我が家の玄関エコカラットDIYでは水平器は使いませんでした。
■スペーサー
エコカラットの種類によっては1mm程度の"目地"を取らなければならないものもあります。
専用の厚み1mmのスペーサーもありますが、1mm厚が取れればなんでも良いので薄めのアクリル板を使ったり、工作用の厚紙でも代用できるでしょう。
■養生シート
スーパーエコぬーるGは粘性の高い接着剤ですが、思っているよりも激しく床に飛び散ります。
硬化前であれば拭きとれますが、硬化後に除去しようとすると床材うぃ傷めてしまう可能性があります。ブルーシートや段ボールで十分ですので、何かしらで床を養生しておきましょう。
エコカラットDIYの手順とコツ
それでは道具を揃えたらいよいよエコカラットを貼っていきましょう。
エコカラットを貼る位置を決める
エコカラットDIYが上手くいくかどうかは、一枚目が垂直・水平になっているかにかかっています。
巾木や入隅を基準として、そこから突き合わせてエコカラットを貼っていくのが最も狂いの無いやり方ですが、壁の中央に絵のように飾る場合やその他既にあるものを基準として使えない場合は壁に基準線を引かなければなりません。長めの木材に水平器を括り付けて鉛筆で線を引くのが手っ取り早いかなと思います。
基準線を引いたら、その「上」にマスキングテープを貼っていきましょう。
こうすることで接着剤がマスキングテープにはみ出してしまっても大丈夫ですし、基準線を見ながらエコカラットを貼ることができます。
エコカラットDIYのコツ
・基準の水平・垂直が肝心
・マスキングテープは基準線の「上」から貼る
タッカーで壁紙を補強
タテヨコともに約45cm間隔で壁紙に針を打ち込んでいきます。この時気を付けなければならないのは、壁紙のつなぎ目には必ず針が渡るようにしなければならないということです。
壁紙の規格は幅90cmですので、45cm間隔で針を打ち込んでいけば自然とつなぎ目に針が渡るようになります。
エコカラットDIYのコツ
・タッカーの針は45cm間隔で打ち込む
・壁紙のつなぎ目には針を渡すように打ち込む
壁に接着剤「スーパーエコぬーるG」を塗る
スーパーエコぬーるGの先端を1cmほどカットし、生クリームを絞り出す要領で壁に塗り付けていきます。あらかた塗り終えたら、クシ目ゴテでクシ目を付けながら均していきましょう。
この時のポイントは、事前に接着剤を室温程度に温めておき、絞り出す前によく揉んでおくことです。スーパーエコぬーるGはかなり粘度の高い接着剤で、絞り出すのも均すのもかなり力が要ります。
温めたり揉んでおくことで接着剤が柔らかくなり作業性が向上します。ただし柔らかくなりすぎると自重で壁から落下してしまうので早めに塗り広げてください。
また、接着剤は20分で硬化が始まってしまいます。エコカラットを貼る作業は意外に時間がかかりますので、広い面積を施工する場合は接着剤を塗る→エコカラットを貼る→また接着剤を塗る…と繰り返していくのが良いでしょう。
接着剤を塗り終えたらマスキングテープを剥がしてください。
エコカラットDIYのコツ
・作業しやすいように予め接着剤を柔らかくしておこう
エコカラットを貼る
基準線あるいは基準となるものに合わせてエコカラットを貼ります。何度も言いますが一枚目が大事ですので慎重に作業しましょう。
書斎のエコカラットを貼った壁はロフトベッドの構造材に囲まれた部分でしたので、構造材をエコカラット貼り付けの基準線としています。
また、エコカラットの水平を見るためにエコカラット自体に水平器を取り付けるという荒業でDIYしました。
エコカラット全体を壁にしっかり押し付けて貼り付けます。
一枚目さえ正確に貼れてしまえば、二枚目以降は突き合わせて貼っていくだけです。
エコカラットDIYのコツ
・一枚目の水平・垂直・基準線が合えば、以降は自動的に正確になる
完成
というわけで大判のエコカラット「ファブリコ」は1㎡あたり6枚ということもあり、わずか40分で施工が完了してしまいました。
失敗例
後日、玄関にもエコカラットをDIYしたのですが少し上手く行かなかったところがありましたので紹介しておきます。
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参考玄関にエコカラットをDIY!【グラナスハルト】
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玄関のエコカラットには「グラナスハルト」というものを使いました。
細長いタイル状となっており、書斎のファブリコと違って何枚も貼らなければなりません。
グラナスハルトのような形状のエコカラットは折って端部を揃えますが、下からエコカラットを施工していったらキリのいいところで材料が終わってしまったので、とりあえず端部はそのままにしてあります。
いずれ暇なときに少量を購入して仕上げればいいか…などと思っていたのですが、何枚も貼っていく過程で徐々に付きつ合わせの甘さが積み上がっていき、端部にエコカラットが入らなくなってしまいました。
こうなると後から入れるエコカラットを削って整形しなければなりません。
端部のエコカラットを予め折って用意しておけば防ぐことができたミスでした。
エコカラットDIYにかかる費用は?
エコカラットの施工を一般的なリフォーム業者に依頼すると10万円~20万円の費用がかかります。
これには人件費などの諸費用も含まれているため費用をケチって施工面積を少なくしてしまうと、コスパという点ではむしろ悪くなってしまいます。
一方DIYでやればかかるのは材料費のみ。例えば今回の書斎のエコカラットDIYでかかった費用は約2万円でした。
浮いた8万円でもうもう2箇所くらいエコカラットを施工できそうですね。
エコカラットDIYにおすすめの場所は?
エコカラットは「調湿」「脱臭」「有害物質の吸着」という機能を持っていますので、
・湿気が気になる
・ニオイが気になる
という場所に施工すれば快適な空間を実現できます。
玄関
玄関は最も一目に晒される場所ですので、エコカラットの見た目の良さを最大限に活かすことができます。
また脱臭効果によりシューズクロークの気になるニオイを抑制してくれますし、室温が低くなりがちな玄関は湿気が集まりやすいポイントでもありますので、調湿効果はありがたいですね。
我が家も玄関にエコカラットをDIYしましたが、今の所玄関ドアが結露したことはありません。
リビング
家の中で最も過ごす時間が長いであろうリビングは居心地をこだわりたい空間です。テレビボードの背面にエコカラットを施工されている施主さんの写真を見て、「ウチもこうしたい!」と思った人も多いのではないでしょうか?
間取りがLDKの場合、ダイレクトにリビングまで流れていってしまった調理中のニオイが脱臭効果により抑制されることが期待されます。
ただし、エコカラットが調湿効果や脱臭効果を十分に発揮するためには部屋床面積の1/4以上の施工が必要とされています。
リビングは広い空間ですので施工費用が高くなりがちなことに留意しなければなりません。
トイレ・寝室
トイレでは脱臭効果、寝室では調質効果が空間を快適にしてくれるでしょう。
これらの部屋にエコカラットDIYをおすすめする理由は、あまり人目に付かない場所だからです。
つまりエコカラットDIYの練習として最適な空間です。私も自分の寝室である書斎で練習してから玄関に臨みました。
まとめ
DIYしておよそ半年が経ちました。未経験の素人がやったDIYですが、今の所エコカラットが剥がれたり浮いたりといったことはありません。
接着剤を使いますので「やり直しが効かない」という難点がありますが、DIYとしては比較的簡単な部類です。
費用を抑えつつ調湿効果や脱臭効果が得られる上に部屋の高級感が増すなんて…コレ、もうDIYしない理由ないですよね?
この記事がエコカラットDIYの一助となれば幸いです。