SPSマンがセキスイハイムに決めるよりも以前、一条工務店を検討していたことを度々お話させていただいておりますが、両者の共通点として「太陽光発電システム推し」であることがあげられます。
一方で、例えばミサワホームの展示場に行った際、一条工務店が気になっていることをミサワホームの営業さんに話したら、床暖房をディスられた上に太陽光発電はオススメしないとまで言われました。
他HMをディスる営業はどうなの…というお話はさておき、このとき、太陽光発電を推さないまでも否定されるとは思わなかったので、結構衝撃的だったのを覚えています。
結局我が家では太陽光発電9.72kwを搭載し、天気の良い日にはジャンジャンバリバリと発電し毎日の電気代をカバーしてくれています。
SPSマンは太陽光発電に対してやや肯定的なのですが、そうでない考えを持つ人達もいます。そこで、太陽光発電に対して否定的な考えを持つ人達の意見とSPSマンの考えを照らし合わせ、今回の記事としてまとめてみました。
ぜひ太陽光発電の採用の可否にお役立てください。
もくじ
太陽光発電は本来投資では無い
太陽光発電をオススメしない理由として「儲かるはウソ」という類の意見が散見されます。
「設置費用が高い」「太陽光という不確定要素に左右される」ということで、投資として不適格であるという意見です。
一理ありますが、そもそも太陽光発電は投資ではなく設備ですので、投資として不適格かどうかは問題ではありません。
太陽光発電を推す国の意図
過去、太陽光発電とは余剰電力を売電することができず、蓄電池を設置しなければ余剰電力は全て捨ててしまわなければならないようなものであり、普及には至りませんでした。
ところが2009年より余剰電力買取制度がはじまり2012年に「FIT制度」が導入され、太陽光発電は"うまみのある投資"として人気を集め始めました。
しかしながら国が太陽光発電を推進した理由は当然ですが投資先を提供するためではありません。
・エネルギー源確保
・環境汚染対処
・再生可能エネルギーの普及拡大と価格低減
これらの問題を解決するために買取制度を始め、太陽光発電の普及を推し進めたワケです。
でも国土の狭い日本のどこに太陽光パネルを設置するの??という問題に対して、「う~ん、家の屋根に載せたらええんちゃう?」「天才!」となり、戸建住宅に太陽光発電を採用してもらうため補助金が制定されました。
太陽光発電に付いてしまったイメージ
「補助金+良さそうな投資」、というところに目を付けた太陽光推しHMはこの利点を自社製品を選択する上でのメリットとして売り出すようになりました。「太陽光発電儲かりますよ」というのはSPSマンが実際にセキスイハイム営業さんから言われたセリフです。このセリフだけ見るとどう考えても怪しいセールスですよね。
ともあれ、検討中の施主に対しこのような営業を繰り返すうちに「太陽光発電=投資」というイメージが世間一般に定着してしまい、太陽光発電本来の"意義"が見失われてしまったのではないでしょうか。
太陽光発電の意義
では太陽光発電の本来の意義とは何でしょうか?
・エネルギー源確保
・環境汚染対処
・再生可能エネルギーの普及拡大と価格低減
先程説明したように、国はこれらの問題を解決するために太陽光発電を推進しています。
どれも差し迫った問題と言えますが、家庭のようなミクロの視点に立つと最も私達に関係のある事柄は「エネルギー源確保」です。
iDeCoに見る国の方針
iDeCo(個人型確定拠出年金)というものをご存知でしょうか?
要するに個人で年金をかけて老後に備えようぜという制度なのですが、掛金が全額所得控除されるなどのすさまじい税制優遇が講じられています。
税制上の優遇措置があるということは、国が「ぜひコレをやってね」と推進しているということなんですが…ではなぜ国はiDeCoを推進しているのでしょうか?
私の上司は60歳から年金受取を始めたそうです。その時に年金機構から説明を受けた「月々の受取予定額」に対し、現在の「実際に受け取っている額」は10万円近く少ないそうです。
70歳までの雇用を求めたり、年金の受け取り開始を70歳まで引き上げ可能としたりなどの法案が次々と出される中、年金問題が切迫しているのは火を見るよりも明らかです。
加えて、今までで年金が"私達に有利になるように変わった"ことがあったでしょうか?少なくとも私は生まれてこの方そのような吉報を聞いたことがありません。
そんな中生まれたiDeCo制度には「もう面倒見きれないから自分のことは自分でなんとかしてね」という、国からのメッセージがこめられていると思っています。
太陽光発電も同じです。
東日本大震災ののち、原発の停止に伴いエネルギー不足が問題となり、節電が強く呼びかけられるようになりました。FIT制度が始まったのはこの後の話です。
蓄電池と太陽光発電に対する補助金(ZEH)はiDeCoの税制優遇と一緒です。「何かあったとき自分の身は自分で守ってね」という個人に自己防衛を求める国の方針がうかがえます。
ここまでのまとめ
従って結論は以下です。
- FITが制定されたのは太陽光発電を普及させるため
- 太陽光発電を普及させたのはエネルギー源を確保するため
- エネルギー源を確保したのは「自己防衛」をしてもらうため
- ゆえにFITは本来投資のためにあるものでは無く、
- 従って太陽光発電は投資では無い
- 従って太陽光発電に対し「儲かる」「元が取れる」「年利○%」などの議論は不毛
というのがSPSマンの持論です。(ただし住宅の屋根に設置するものの場合)
太陽光発電に対する国の意図を汲む
現在のZEHの要項などから分かるように、国が蓄電池設置を優遇しているのは明らかです。
国としては「太陽光発電+蓄電池でエネルギーを"自産自消"して欲しい」というのが本当のところでしょう。
そのためのジャブとしてFIT制度を使って大衆の気を引いたワケです。
投資格言に「国策には逆らうな」という言葉があります。
これは投資格言ですので「損をしたくないなら」という言葉が前置きとして入るでしょう。
もしあなたが損をしたくないのであれば、国策が意図するところを汲み取って行動する必要があります。
初期費用について
一理あります。しかし、太陽光発電の初期費用に対し元が取れたかを気にするのであれば、他の設備に対しても、元が取れたのかを気にするべきではないでしょうか?
例えばエコキュートはどうでしょうか。
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参考【電気代】エコキュートを制するものは電気代を制す!【共働き世帯】
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エコキュートは深夜の電気代の安価な時間帯にお湯を沸かしてためておくという設備です。そのほうが電気代が安く済むから…という理由でこれを採用するワケですが、これはつまり「収支を改善するために初期費用かけようとしている」ワケで、これは投資です。
それではエコキュート採用のための初期費用に対する"浮いた電気代"の利回りはどれくらいですか?と聞かれて即答できる人はほとんど居ないと思います。
電気代だけではありません。水道代はどうでしょうか?
センサー式の自動水栓はほとんどの場合オプションですが、「節水効果がある」と説明されることもあります。それではオプション費用に対する節水効果の利回りはどれくらいなのでしょうか。
もっと言えばハウスメーカー選びもそうです。
あなたはローコスト住宅を検討していたとします。しかし結局、暖かい家を求めて高気密・高断熱のハウスメーカーを選んだとします。そのようなハウスメーカーが提供する住宅は得てして高額ですが、一方で冷暖房効率が良いとされます。
それでは、ローコスト住宅と高気密・高断熱住宅の差額(初期費用に相当)に対するローコスト住宅と高気密・高断熱住宅それぞれの冷暖房効率の差による電気代の差額の利回りは、果たしてどれくらいなのでしょうか。
蓄電池はもう少し待ったほうがいいかも?
しかしながらまだまだ蓄電池は性能の割に高額であると言わざるを得ません。
FIT制定以降、ソーラーパネルが次第に安価になっていったのと同様に、蓄電池も次第に安価になっていくことはほぼ確実です。事実、電気自動車の蓄電池は2010年~2016年の6年間で価格が約1/4に低減しています。
こういうときこそHEMSの出番
少しコストパフォーマンスの話をさせていただくと、エネルギー自産自消を目的に太陽光発電と蓄電池を採用するのであれば、各家庭の消費電力にピッタリと合致している容量を選ぶのがムダが無い選択と言えます。
ここでHEMSが役に立って来ます。
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参考HEMSとは?新築するなら必ず採用したい理由もご紹介
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セキスイハイムのHEMS「スマートハイムナビ」では、HEMSを採用している家庭のエネルギーに関するデータを収集しています。
このビッグデータを使えば、「私の家庭は○人家族で、在宅時間はこれくらいで、食洗機と洗濯乾燥機を使っていて、夜は大体△時までテレビとパソコンを使っていて…」などの生活情報を営業さんに伝えれば、あなたにピッタリの容量を提案してくれるでしょう。
逆に言うと、この提案が出来なければ情報を収集している意味がありません。セキスイハイムはそんな無能ではないはず、そうですよね?
太陽光発電に関するメリット・デメリットを調べてみよう
太陽光発電を採用した、あるいはしなかった先達施主様の生の声ほど役立つものはありません。
太陽光発電の意義を踏まえ、メリットとデメリットを吟味してみましょう。
こちらは先輩セキスイハイマーである八郎さんの記事ですが、太陽光発電に対する結論「悩んでいるならつけるな!その金で他の物を買え!!」というのはシンプルかつ的を得ています。初期費用に対する売電収入の利回りを計算するくらいなら、初期費用分全額を本当に「投資」したほうが遥かに賢い選択です。
終わりに
太陽光発電は投資では無く、エネルギーを自産自消するための設備である、というお話でした。
SPSマンは太陽光発電をこのように解釈するのが一番しっくりくるのですが、皆さんはどうでしょうか?
投資では無いと言い切りましたが、投資にお詳しい方が戦略的投資として太陽光発電を採用するのであればそれはそれで一理あると思います。
現在の国の方針を鑑みれば、太陽光発電は採用するべきだと思います。
また、同様に蓄電池も採用するべきでしょうが、後5年くらい待つと買いやすい価格になるんじゃないかなぁと思います。現在FIT制度を利用している施主様は、FITが終了してからでも良いでしょう。
もっとも大事なことは太陽光発電を採用するにあたり「完全に自分で納得する」ことです。
太陽光発電の採用を迷っている人の参考になれば幸いです。